2020年12月29日

火の鳥・未来編(手塚治虫)と宇宙で増大する脅威 進む対衛星兵器開発 防衛省の能力強化急務


火の鳥・未来編(手塚治虫)
宇宙で増大する脅威 進む対衛星兵器開発 防衛省の能力強化急務
12/29(火) 18:35配信(産経新聞)

防衛省が宇宙分野の能力強化を急いでいる。令和3年度予算案には宇宙関連経費として前年度比3割増の659億円を計上し、航空自衛隊の「宇宙作戦隊」をはじめとした宇宙領域専門部隊を拡充する。宇宙では商用の人工衛星に加えて宇宙ごみ(デブリ)が増加し、衝突の危険性が高まる一方、中国やロシアが他国の軍事用衛星を破壊、無力化する兵器開発

岸信夫防衛相は25日の記者会見で「今後も多様な任務を効果的、効率的に遂行していくためには、宇宙空間の安定的利用の確保が極めて重要だ」と強調した。

 防衛省は平成30年12月に閣議決定した「防衛計画の大綱」と「中期防衛力整備計画」の中で、陸・海・空という従来の領域に加え、宇宙・サイバー・電磁波といった新たな領域を組み合わせた「領域横断作戦」の実現を打ち出した。

 例えば敵のミサイルや戦闘機に対処する場合、(1)偵察衛星で探知し、通信衛星を介して情報を集約(2)集約した情報をもとに戦闘機、護衛艦、地対空ミサイルシステムに迎撃を指示(3)迎撃ミサイルを測位衛星で誘導する−といった具合だ。

 こうした人工衛星の機能が奪われれば、領域横断作戦は破綻しかねない。岸氏が「宇宙空間の安定的利用の確保」を強調するのもこのためで、防衛省幹部は「今後は宇宙での優位でほぼ勝負が決まる」と話す。

 中国やロシアが対衛星兵器開発を進めているのも宇宙領域の重要性が高まっているからだ。中国は2012年からの8年間で軍用衛星の数を約2・7倍に急増したとされる。07年に中国が自国の人工衛星を地上発射型のミサイルで破壊し、対衛星攻撃ミサイルの存在が知られた。

 中国ではミサイル以外にも、他国の衛星を無力化する「キラー衛星」の開発が進んでおり、アームで捕獲するタイプや妨害電波を出すタイプなどがあるとされる。10年には宇宙の低い高度で、16年には静止軌道という高高度で衛星同士を近付ける実験が確認された。

 こうした状況を踏まえ、防衛省は宇宙状況監視(SSA)システムの整備を急いでいる。地上からのレーダーとSSA衛星を使ってデブリや不審な動きをする衛星がないかを監視するもので、令和5年度からのシステム運用開始を予定し、SSA衛星は8年度までの打ち上げを目指している。

 人工衛星とデブリの増加も深刻だ。地球の周囲には10センチ以上のデブリが2万個以上あるとされ、秒速7〜8キロで地球を周回している。

 さらに、通信サービスなど民間の商用衛星は今後、急速に増加する見通しで、小型衛星を低軌道に大量に投入する「衛星コンステレーション」が主流となる。

 日本政府関係者は「これほど宇宙が混雑化しているのに、ルールがないことが問題だ」と指摘する。

 宇宙に関する規制としては、1967年に発効した宇宙条約などがあるが、宇宙空間の領有の禁止など原則的な内容で、80年代以降は新たな国際ルールはできていない。ルールづくりの場としては国連宇宙空間平和利用委員会などがあるが、日本や米国などと中国、ロシアの考え方には隔たりが大きい。

 外務省関係者は「中国、ロシアは民生と兵器を区別し、兵器は規制すべきだと主張するが、兵器は衛星に隠してしまえばわからない。区別することに意味はない」と話す。

 日本と英国などは12月に米ニューヨークで開かれた国連総会本会議で、民生か軍事かにかかわらず、宇宙空間での「責任ある行動」を促す決議案を提出し、164カ国の支持を得て採択された。

 このほか、日米欧など8カ国は、中国が注力する月探査にかかわる新たな国際ルール「アルテミス合意」を10月に結び、他国の活動への不干渉などを強調して中国を牽制(けんせい)している。

 中露を含む国際ルールづくりは一筋縄ではいかず、日本政府関係者は「兵器開発を進めながら兵器を規制しようというのが中国、ロシアだ。価値観を共有する国がルールの既成事実を積み上げていくしかない」と話している。
posted by 依田宣夫 at 22:14| Comment(0) | トピックス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする