2010年01月22日

専門誌FPジャーナル2009年12月号で 紹介されました。

 ファイナンシャルプランナーの専門誌FPジャーナル2009年12月号で
 家庭決算書が紹介されました。
  http://www.jafp.or.jp/planners/journal/jnl_data/jnl119/jnl119_1.shtml

FPジャーナル2009年12月号:会員投稿コーナー
家計管理の方法としての家庭決算書の見方・役立て方『FPジャーナル』では、継続教育の一環、会員の皆さまの情報共有として会員ご自身のFP実務やご提案など、幅広いテーマによる投稿をご紹介しています。
今月号は、宗氏による「家庭決算書」についての見解です。協会のテキスト『パーソナルファイナンス』のキャッシュフロー報告書、バランスシートの部分と比較して読んでみましょう。

CFP®認定者 宗 長正

(そう・ながまさ)宗FP綜合事務所代表。公認会計士事務所・税理士事務所で、法人・個人の決算業務、税務申告および経営相談を経験し、独立系FPとして福岡市で独立。「中立・誠実・進歩」を心がけ、ライフプランに基づく個人相談・各種セミナー・執筆活動などを行う。

はじめに

 私たちの家庭は、今まで主として単式簿記による現金収支型の家計簿を使って家計を管理してきました。しかし、この方法にはローン・クレジットカードなど現在の生活様式の変化に基づくお金の取引形態の変化に十分な対応をすることが難しい点があります。
 そこで、世帯の過半数を超える給与所得者のために、家庭の会計情報として複式簿記を利用して家庭用に作られた「家庭決算書」の見方・役立て方について紹介します。

家庭決算書が必要な理由

 家庭決算書は、次の理由により必要と考えられます。
 まず、家計のなかに現金以外の取引が増加したことです。生活様式の変化により、家計のなかにローン・クレジットカードなど現金以外の取引が増えると、現金収支型の家計簿ではその取引の総体を表現できません。
 次に、現金収支だけの資産管理は難しいことです。例えば、株式を購入すると現金は減りますが、実際は現金が株式に変わっただけで資産全体ではマイナスではありません。
 また保険積立金は、保険料の支払いで現金は減りますが解約返戻金は将来の資産の一部です。以上のように、現金収支だけでは複雑化した家計管理に対応できません。
 つまり、家庭全体の損益の状況や資産・負債の変動を十分に把握するために「家庭決算書」が必要とされます。

家庭決算書の目的

 家庭決算書とは、企業の決算報告で使う「貸借対照表・損益計算書」を家庭用に応用したものです。家庭決算書は、複式簿記を利用してすべての取引を仕訳し、分類・集計して「財産対照表」と「消費損益計算書」を作成します。


ポイント
(i) 財産対照表
家庭の「財産」の状況(資産・負債・正味財産)を明らかにする。
(ii) 消費損益計算書
家庭の「収入」と「消費活動」の状況を明らかにする。

家庭決算書の作成プロセス
 家庭決算書は、次のようなプロセスに従って作成されます。
(i) スタート
はじめの「財産対照表」の作成(現在の家庭の財産状態が、健全か債務超過かを知る)
(ii) 消費生活
1年間のすべての取引を仕訳し、科目ごとに分類・集計
(iii) 年末(決算)
家庭決算書(次の2つ)を作成
財産対照表、消費損益計算書
(iv) 翌年への繰越
財産対照表の繰越


家庭決算書の表示内容

I.財産対照表
(i)その区分は図表1のように左側に資産、右側に負債と正味財産で構成されています。


 図表1■財産対照表 資料:筆者作成
資 産 負  債
    正味財産
合計   合計

(ii) 表示内容は、家庭の「財産」の状況を明らかにするために「資産」の合計−「負債」の合計=正味財産を計算し、わが家の「資産のゆとり」がどの程度か把握します。
[1]資産
 資産とは、家庭で所有しているもののうち現金化できるもののこと。例えば、金融資産(現金や貯金・有価証券など)、不動産(土地・建物・マンションなど)、動産(車両など)、解約返戻金のある保険積立金などです。なおその金額の計上は、家計の実態を正確に表現するために「時価」評価(いま売ったら、いくらか)します。
[2]負債
 負債とは、家庭でいずれ現金で支払わなければならない債務のこと。例えば、借入金(住宅ローン・教育ローンなど)、カード未払金などです。
[3]正味財産
(i) 正味財産とは、家庭の資産をすべて現金化して負債をすべて返済したときに手元に残る現金のこと。これは家庭の「本当の財産」を意味します。
(ii) その計算方法は、「資産合計」から「負債合計」を差し引いた金額です。
(iii) その区分は、その発生原因により次の3つになります。 当期消費損益…当年度の給与、資産運用などにより得た収入で、消費生活をした結果として築き上げた財産を意味します。
留保財産…当期消費損益の前年までの累計額を意味します。
家族財産…相続や贈与により父母などから譲り受けた財産や、結婚時の持参金など外部の力によって築かれた財産を意味します。


II.消費損益計算書

(i) その区分は、図表2のように収入・消費・特別収入・特別消費の4部門で構成されます。
(ii) 表示内容は、1年間の家庭生活の消費活動の状況を明らかにするため、次の算式により当期消費損益を計算します。
収入(収入+特別収入)−消費(消費+特別消費)=当期消費損益
(iii) 財産対照表との関係
当期消費損益がプラスの場合は、「正味財産」は増加し、マイナスの場合は「正味財産」は減少します。つまり、当期消費損益の増減と「正味財産」の増減は、一致するという仕組みで連動しています。

 図表2■消費損益計算書 資料:筆者作成


(1) 収入とは、主に労働の対価で「給料・賞与・家族収入・年金その他収入」に区分されます。
(2) 消費とは、家庭生活の消費活動のために消費されるもので「日常生活費・その他生活費・税金等」に区分されます。
(3) 特別収入とは、資産の運用・家計外部の経済要因により発生する収入で、「受取利息・受取配当金・有価証券売却益・資産の評価益」などです。
(4) 特別消費とは、借入金・家計外部の経済要因により発生する消費で、「借入金の支払利息・有価証券売却損・資産の評価損」などです。

家庭決算書の見方・役立て方

 家庭決算書について、財産対照表と消費損益計算書の中身を分析することにより、家庭経営にいかに役立てるかを見ていきましょう。

I.財産対照表
 この財産対照表を見ると、家庭の財産がいま「健全」な状態か、または「債務超過」の状態かの家庭の「財産の現状」を理解できます。
[1]健全な状態のとき
 資産が負債より多い場合には、正味財産はプラスとなり、家計は「健全」な状態です。
[2]債務超過の状態のとき
(i) 資産が負債より少ない場合には、正味財産はマイナスとなり、家計は「債務超過」の状態です。
(例)資産1,000−負債1,500 = 正味財産▲500
これは、資産をすべて売却して負債を返済してもなお負債が500残る状態を表しています。
(ii) わが家の財産対照表が債務超過の状態になった場合は、早急に家計の「改善策」を立てることが必要となります。

II.消費損益計算書
 家計の消費損益のデータが蓄積されれば、家計のなかでウエイトの高い消費を把握したり、家計の消費構造の変化や傾向もつかめます。
 そこで、消費損益計算書の年間消費損益の推移を見て、継続的にマイナスの場合には、次の具体的対策を立て家計全般を見直す必要があります。


具体的対策 (i) 大きな支出を見直す(住宅資金・教育資金・生命保険など)
(ii) 収入を増やす
(iii) ライフプランの予算額を見直す
(iv) ライフプラン自体を見直す

III.財産対照表と消費損益計算書の関係
 家庭決算書では、財産対照表と消費損益計算書が家計の両輪となって常に連動し、家庭の「財産」の状況と「損益」の状況を示します。
 したがって財産対照表と消費損益計算書を利用することにより、家計の「全体状況」を管理することができます。

IV.まとめ
 家庭決算書は、その作成過程において仕訳・記帳という事務的な負担を伴いますが、財産対照表と消費損益計算書を分析することにより、家計「全体」の財産と損益の現状をリアルタイムで明らかにすることができます。
 また家庭経営という面から見た場合には、家庭の経営者がわが家の「生活設計」をするときに、「家庭決算書」という会計情報を持つことにより家族のライフプランや夢を実現するのに役立てることができます。

   
ホームページ
   「家庭経営と家庭決算書」
    http://www.kateikeiei.com/


posted by 依田宣夫 at 13:02| Comment(0) | TrackBack(0) | 専門家のコメント | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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