新型コロナウイルス感染症について(厚生省)
新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針
令和2年3月 28 日(令和2年4月 16 日変更)
新型コロナウイルス感染症対策本部決定
政府は、新型コロナウイルス感染症への対策は危機管理上重大な課題であると
の認識の下、国民の生命を守るため、これまで水際での対策、まん延防止、医
療の提供等について総力を挙げて講じてきた。しかしながら、国内において、感
染経路の不明な患者の増加している地域が散発的に発生し、一部の地域で感
染拡大が見られてきたところであり、この状況を踏まえ、令和2年3月 26 日、
新型インフルエンザ等対策特別措置法(平成 24 年法律第 31 号。以下「法」
という。)附則第1条の2第1項及び第2項の規定により読み替えて適用す
る法第 14 条に基づき、新型コロナウイルス感染症のまん延のおそれが高
いことが、厚生労働大臣から内閣総理大臣に報告され、同日に、法第 15 条
第1項に基づく政府対策本部が設置された。
国民の生命を守るためには、感染者数を抑えること及び医療提供体制や社会
機能を維持することが重要である。
そのうえで、まずは、「三つの密」を避けることをより一層推進し、さら
に、積極的疫学調査等によりクラスター(患者間の関連が認められた集団。
以下「クラスター」という。)の発生を封じ込めることが、いわゆるオーバー
シュートと呼ばれる爆発的な感染拡大(以下「オーバーシュート」という。)
の発生を防止し、感染者、重症者及び死亡者の発生を最小限に食い止める
ためには重要である。
また、必要に応じ、外出自粛の要請等の接触機会の低減を組み合わせて
実施することにより、感染拡大の速度を可能な限り抑制することが、上記の
封じ込めを図るためにも、また、医療提供体制を崩壊させないためにも、重
要である。
あわせて、今後、国内で感染者数が急増した場合に備え、重症者等への対
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応を中心とした医療提供体制等の必要な体制を整えるよう準備することも
必要である。
既に国内で感染が見られる新型コロナウイルス感染症に関しては、次項
「一 新型コロナウイルス感染症発生の状況に関する事実」に示すとおり、
・ 肺炎の発生頻度が、季節性インフルエンザにかかった場合に比して
相当程度高く、国民の生命及び健康に著しく重大な被害を与えるおそ
れがあること、
・ 感染経路が特定できない症例が多数に上り、かつ、急速な増加が確
認されており、医療提供体制もひっ迫してきていることから、全国的
かつ急速なまん延により国民生活及び国民経済に甚大な影響を及ぼ
すおそれがある状況であること
が、総合的に判断できる。
このようなことを踏まえて、令和 2 年4月7日に、新型コロナウイルス
感染症対策本部長は法第 32 条第 1 項に基づき、緊急事態宣言を行った。
緊急事態措置を実施すべき期間は令和2年4月7日から令和2年5月6日
までの 29 日間であり、緊急事態措置を実施すべき区域は埼玉県、千葉県、
東京都、神奈川県、大阪府、兵庫県及び福岡県とした。また、令和2年4
月 16 日現在において、上記7都府県と同程度にまん延が進んでいる道府
県として北海道、茨城県、石川県、岐阜県、愛知県、京都府を緊急事態措
置を実施すべき区域に加えるとともに、それ以外の県においても5ページ
以降で述べる理由により、全都道府県を緊急事態措置の対象とすることと
した。これらの区域において緊急事態措置を実施すべき期間は、令和2年
4月 16 日から令和2年5月6日までとした。なお、緊急事態措置を実施
する必要がなくなったと認められるときは、期間内であっても速やかに緊
急事態を解除する。
緊急事態の宣言は、新型コロナウイルス感染症の現状とともに、これま
での課題に照らし合わせて、法に基づく各施策を用いて感染拡大を防ぐと
ともに、この宣言の下、政府や地方公共団体、医療関係者、専門家、事業
者を含む国民が一丸となって、基本的な感染予防の実施や不要不急の外出
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の自粛、後述する「三つの密」を避けることなど、自己への感染を回避す
るとともに、他人に感染させないように徹底することが必要である。
実効性のある施策を包括的に確実かつ迅速に実行するにあたってはクラ
スター対策を行う体制の強化や医療提供体制の確保が喫緊の課題であり、
これまでの施策を十分な有効性を持たせて実施していくとともに、特に不
要不急の外出など外出自粛の要請等を強力に行い、人と人との接触を徹底
的に低減することで、必要な対策を実施することとする。
こうした対策を国民一丸となって実施することができれば、現在拡大し
ている感染を収束の方向に向かわせることが可能である。具体的には、国
民においては、不要不急の外出を避けること、「三つの密」や夜の街を極力
避けること、事業者においては、業務継続計画(BCP)に基づき、出勤
者の 4 割減少はもとより、テレワークなどを活用することで、さらに接触
の機会を減らすことを協力して行っていく必要がある。30 日間に急速に収
束に向かわせることに成功できたとすれば、数理モデルに基づけば、80%
の接触が回避できたと判断される。なお、政府としては、緊急事態を宣言
しても、社会・経済機能への影響を最小限に留め、諸外国で行われている
「ロックダウン」(都市封鎖)のような施策は実施しない。
本指針は、国民の生命を守るため、新型コロナウイルス感染症をめぐる
状況を的確に把握し、政府や地方公共団体、医療関係者、専門家、事業者
を含む国民が一丸となって、新型コロナウイルス感染症対策をさらに進めていく
ため、今後講じるべき対策を現時点で整理し、対策を実施するにあたって準
拠となるべき統一的指針を示すものである。
なお、新型コロナウイルス感染症は新型インフルエンザとはウイルスも
病態も異なる感染症であることから、政府としては、地方公共団体、医療
関係者、専門家、事業者を含む国民の意見をくみ取りつつ、協力して直ち
に対策を進めていくこととする。
一 新型コロナウイルス感染症発生の状況に関する事実
二 新型コロナウイルス感染症の対処に関する全般的な方針
三 新型コロナウイルス感染症対策の実施に関する重要事項
(別添)緊急事態宣言時に事業の継続が求められる事業者